【日常の業務と経験値~事象の客観的評価】
看護師という職業は、患者さんの日常生活の介助や、注射や点滴をしたり、
医師の指示でさまざまな処置をしたり…
といった目に見える仕事が多くのウエイトを占めますが、
実はそれらの目に見える体を使う仕事の他に、最も重要な頭を使う仕事もあるのです。
それが『アセスメント』と呼ばれる事象の客観的評価という仕事です。
これは誰かに指示されるものではないし、
この仕事ができていないからといって業務が止まるものではありません。
しかし、だからこそとても重要で大切な業務と言えると思います。
●授業や看護過程におけるアセスメント能力づくり
学生の時は、フィジカルアセスメントという
授業や看護過程におけるアセスメント能力づくりというように
カリキュラムとしてその訓練をする機会があります。
私自身も、学生の時は参考書を片手に取り組んでも
少し苦手な分野だった気がします。
●看護過程の展開能力の重要性
看護過程の展開図を学生30人でそれぞれに作成しても、
個々の性格や能力の差によって、その完成図は量が全く異なっていた記憶もあります。
学生としてその看護過程の展開図を作っている頃は、
その展開能力がどれほどに看護師という仕事のスキルに影響するのか
想像できていませんでしたが、実際に現場に出てみると、
その能力が低いことによって、のちに患者に大きな影響を及ぼす事態が多く出るという現実を
まじまじと実感することになるのです。
その業務にあたっている看護師の頭の中に、どの程度の看護展開図が完成しているのかを
周りが把握できない分、その能力を指摘されたり、
業務を止められることはありません。
ただ、その代償を目の当たりにするのは、
アセスメント不足によって発生するインシデントやアクシデントが起こってから、
期待されていた結果がもたらされていないということが
目に見えてからになるのです。
●さまざまな症例を経験し身につく能力
実際に仕事をしていると、学生のように参考書を片手に
その事象から起こりうる結果を調べながらというわけにはいかないと思います。
看護師として、さまざまな症例を経験し、
それに応じた看護を提供しているうちに経験として関連するキーワードを展開させたり、
アセスメントしていけるようになっていくとは思うのですが、
学生時代にその重要性を実感できずに仕事に就くことが
新人のアセスメント能力の低下や、ミスなどを招く原因となるのではないかと思います。
●事態を振り返り習得する
よく、2年目になってもアセスメントがよくわからない、
できないという悩みを聞いたりします。
それまでに働いた1年間の中で
その力が低かったためにどのような事態が起こるのか、
患者さんにどんな影響が出たのかを実際に経験する機会は多くあったと思います。
そういった、実際に起こってしまった患者さんの不利益を体験した時に、
なぜそうなってしまったのか、なにが足りなかったのかをしっかり振り返っていくようにすると、
自然とその復習となっていくような気がします。
●ブランクを得ての復帰
「アセスメント」という行為が、
看護実践においてどれほど重要なのかということに気付くことができたら、
その能力を向上させる手立ては、すぐに見つかるのではないでしょうか。
女性には出産や子育てという一大イベントがあります。
資格を所有しているからこそ、
数年経過した後も、現場の第一線で活躍することができるのです。
一度培った職場での実体験や経験は体が習得していて、
ブランクを経て復帰した場合でも自分の財産として
仕事に活かすことができるのではないでしょうか。