●手ごわい看護計画!その考え方と書き方とは
看護過程、看護計画とは、看護を行っていく上では
切っても切り離せない関係性のものですよね。
学生の頃は、この看護過程の展開が本当に難しくて、
かなり苦しめられた記憶があります。
看護を提供する際に展開される看護過程には、
『情報収集→アセスメント→看護診断→計画→実施→評価』という一連の流れがあります。
そもそも看護過程とは、科学的な根拠(エビデンス)に基づいて
患者の問題点を把握して可視化し、それを基に解決のための観察や試行を行って、
さらにそこから得られる問題点の情報を収集して診断し、
出てきた問題点を解決するための仮説の設定と検証を行うという一連の行動から成り立っています。
この看護過程の意義は、どのような結果でも、
突如としてその結果だけが現れるのではなく、それに至るまでの過程が存在しているということです。
つまり、人は達成したい“結果”に向けて、自分で実践可能な行動の計画を立てて、
達成目標の限りない実現に向けて、自分が立てた行動を実行するという流れがあります。
このとき、達成したかった“結果”と、
そのとき実行した行動の“結果”が一致しなかった場合には、
今度はさっき実行した行動とは別の計画を練って、実現させたい目標の達成に向けて、
また行動に移すという行程を目標が達成されるまで繰り返していると思います。
看護計画は、この「達成したい“結果”に向けた計画・実行・修正」を
誰もが見やすく表したものと言えるのではないかと思います。
ちなみに、この意義は疾病の出現にも適用できます。
ですので、この考え方を念頭に置きながら、
患者の問題点を挙げる際にも使える理論であると思います。
看護師さんには、エビデンスを重視して論理的に話をする人が多い印象があるのですが、
日頃からこの看護過程を頭の中で繰り返しているために、
日常でもそういった考え方が定着してしまうのかもしれないですね。
看護計画は、先程説明した看護過程の4番目の行程です。
看護する対象者について情報収集を行い、
そこから得られたいくつかの問題点の中で、現在起こっている問題点を的確に診断し、
それに基づいて具体的な目標と計画を立案する段階となっています。
この具体的な計画は、看護診断の関連因子ごとに立案すると評価がしやすいでしょう。
看護診断は、NANDAの看護診断が多く用いられています。
看護する対象が現在抱えている問題を解決するために、
個別的な看護目標および処置計画を記載したものが看護計画というわけなのですね。
この看護計画は、観察項目(O-P)、ケア項目(T-P)、
教育および指導項目(E-P)に分けて記載されることが多くなっています。
また、看護計画にはあらかじめ評価日を設定しておき、看
護目標への到達度や計画内容について、定期的に見直し・修正を行っていきます。
実際に病院で働き始めると、“標準看護計画”というものを目にすることになると思います。
看護師の仕事は、患者さんのお世話や点滴・採血などの処置、
バイタルチェックに診療・処置の補助など本当にやることがいっぱいです。
さらに、魔の記録業務もたくさんあります。
最近ではカルテの電子化によってその手間も
だいぶ簡素化している病院も多くなってきたかもしれませんが、
それでも、一人で何人もの患者さんを看護するので、記録の量が膨大になるのは、当然の結果ですよね。
しかし、冒頭でも書いたように、看護を提供するということは
個々の患者に対してそれぞれが持つ問題点に対する計画・実行・評価が重要になるので、
“看護計画を立てる”という業務はなによりも重要な仕事と言えるのです。
ですが、看護計画の立案は数分程度でチャチャッとできるものでもありません。
そこで、そんな多忙な看護師業務を少しでも効率的にするために導入されているのが、
標準看護計画というわけなのです。
標準看護計画は、患者の個別性を含まない一般的な看護計画です。
外科疾患や内科疾患、ある手術を受ける患者など、特定の疾患や治療によって、
個別性が関係なく引き起こされる問題点というものもありますよね。
そこで、それらの問題点に対する計画をあらかじめ作成しておいて、
その計画に、後から個々の対象者が持つ問題点を付け加えたり、
一般的なものが実行できない場合に代替え案を修正することができるようになっているというわけです。
ですので、実際に働き始めてからは、この元々作られている看護計画の中に
患者ごとの情報や不要な部分の修正を行う程度の関わりだという看護師も少なくないかもしれません。
しかし、学校で叩き込まれる看護過程のプロセスは、
就職後多様な症例に遭遇する中で、本当に必要で重要な個別の問題点を論理的に導きだすために
とても必要なスキルとなるので、学生の頃からしっかりと身につけておく必要があると思います。