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経管栄養の種類≪施行時の注意点とは≫


●押さえておきたい!用いられる経管栄養剤の種類と施行時の注意点とは

何らかの器質的な病変が起こっていたり、周手術期などによって経口的に食事を摂取できない場合や、なんとか自力での経口摂取はできているけれどその摂取栄養量が不十分であるといった患者さんなどに、適切な栄養を補給させる目的で、鼻から胃や十二指腸にチューブを留置して、そこから栄養を確保する経腸栄養法を経管栄養と言います。

この経管栄養が適応される症例としては以下のような場合が挙げられます。

・咀嚼や嚥下機能の障害のため、経口摂取だけでは必要な栄養量を充足できない

・口筋の運動障害や、口腔外科の術後などのため開口ができない

・意識障害などのため経口摂取ができない

・静脈栄養から経口摂取への移行段階の患者

・消化器系内科疾患を持つ患者

・食道・胃など消化管の手術前後で、栄養管理が必要な患者

この経管栄養法は、IVHと違って創部がないため感染などのリスクも非常に少なく、定期的な消毒といった感染管理などもほとんど必要ないため、経管栄養を継続したまま在宅に帰られる方も多くなっています。

しかし、経管栄養では胃に直接栄養物を入れることになるので、誤嚥のリスクが高くなるという点には十分な注意が必要となってきます。

メリット・デメリット

経管栄養を選択するメリットとしては、生理的な経路による栄養法であるため腸管粘膜や運動機能が正常に保たれるということや、全身の免疫能の低下を予防できること、代謝が生理的に行われるため高い栄養効果が得られること、栄養剤の注入に関する手技や管理が容易であり、感染症や合併症が発生しにくいということや、静脈栄養に比べて費用が安く抑えられるといった多くの点が挙げられます。

しかしながらデメリットももちろん存在しています。

経管栄養では胃や十二指腸に直接栄養物を送ることになるため、栄養素を消化・吸収する腸管では、正常に近い消化吸収機能が必要となるという点です。

栄養剤の種類とは

一口に「経管栄養」といっても、投与する栄養剤には患者の機能の程度に合わせたいくつかの種類があります。
それらの種類の特徴を、簡単にご紹介したいと思います。

【半消化態栄養剤】

・低残渣食または食物繊維付加のものもある。

・脂肪含有量が多く、炭水化物(複合体)やたんぱく質はそれぞれの形のままで配合されているため、5大栄養素や食物繊維などの必要な栄養分はほぼ充足できる。

・しかし、そのため腸管には一定以上の消化機能が必要となり、消化管が正常に機能し、正常な消化・吸収が行えていることが適応の条件となる。

・このタイプは市販されているものも多い。

 
【消化態栄養剤】

・低残渣食。

・脂肪の含有量は多いが、食物繊維はほとんど含まれていない。

・主要な栄養素が消化された形、つまりたんぱく質はアミノ酸およびペプチドの形に、炭水化物はデキストリンの形に加水分解されて配合されている。

・このため、消化管からの吸収が容易である。

・適応は、炎症性腸炎、膵機能不全、吸収不良症候群、短腸症候群、放射線性腸炎、早期の経腸栄養、半消化態栄養剤での不具合が生じた症例など。

・また、長期の絶食によって消化管粘膜が萎縮してしまった患者さんなどに重宝する形態である。

【成分栄養剤】

・低残渣食で脂肪含有量が極めて少なく、食物繊維もほとんど含まれていない。

・ たんぱく質や炭水化物といった主要な栄養素は、それぞれアミノ酸、デキストリンというように前もって消化された形で配合されている。

・このため消化管からの吸収が容易であり、消化管の機能異常がある患者でも使用可能である。

・成分栄養剤については、消化機能を必要としない。

チューブ留置方法および投与の手順について

ここで簡単に、チューブの留置時や栄養剤の投与の際の手順や注意点について簡単にまとめておきたいと思います。

それぞれの手順の前には、必ず患者さん本人にその目的や方法、起こりうる反応について十分に説明を行い、同意を得て不安を取り除けるようケアを行います。

<チューブ留置時の注意点>

・患者の体位は、ファウラー位かセミファウラー位、または座位に近い状態に整える。

・チューブ挿入の際には、事前にチューブの挿入の長さの目安を確認しておく。
方法は、チューブの先端を鼻の先端から耳朶に当てて、耳朶までの距離を測定し、その後耳朶から剣状突起までの長さを測って胃までの長さの目安とする。

・チューブ挿入の際には、患者に顎を引いてもらい、鼻孔からゆっくりとチューブを挿入し、患者の嚥下運動に合わせて挿入する。
このとき顎が上がった状態で挿入すると、カテーテルが気道に入りやすくなってしまうため注意する。

・チューブが目安の長さまで挿入できたら、口腔内でチューブがとぐろを巻いていないかを確認し、確認できればシリンジで胃の内容物が吸引できるかを確認する。また、5~10ml程度のエアーを注入し、聴診器で心窩部のエアー音も確認する。

・これらが確認できたら、さらに5cmほどチューブを進めて確実に胃内に留置し、鼻翼と頬にそれぞれテープで固定する。この際にはチューブに少し緩みを持たせておく。

<栄養剤投与時の注意点>

・栄養剤を注入する前には、必ず口腔内でチューブがとぐろを巻いていないか、心窩部でのエアー音は聴取できるか、胃液は吸引できるかを確認し、確実に胃内にチューブが留置されていることを確認する。

・投与前のバイタルサインや、患者の顔色・呼吸状態などをしっかり観察しておく。

・栄養剤の滴下速度を適切に合わせる。一般的には100ml/30分程度であるが、患者の状態によってもその速度は異なる。成分栄養剤は24時間持続注入となる。

・注入中は、悪心・嘔吐、気分不快、ダンピング症状などが出現する可能性があり、また注入速度が速いと、嘔気・嘔吐、下痢を起こす可能性があるため、注入開始後しばらくは十分な観察を行う。

・むせや咳込みが見られた際には直ちに注入を中止する。

・栄養剤の注入が終了したら、微温湯30mlをシリンジに引き、チューブにフラッシュして残留物を取り除いておく。その後、空気20~30mlをチューブに注入しておく。
水分をそのままにしておくと閉塞や腐敗を引き起こすため注意しておく。

・栄養剤投与後は、チューブのキャップを閉め、ガーゼなどで包んで清潔を保てるようにする。

・嘔吐や胃食道逆流を防ぐため、投与後は上半身を30度程度挙上した体位を1時間程保っておく。

このように列記すると意外と多いように思えるのですが、経管栄養での栄養剤投与の際に最も重要なのは、やはり胃内に確実に栄養剤を注入することと、速度を適切に管理し、注入後の閉塞を予防することと言えるのではないかと思います。

患者さん個々に応じた適切な援助が行えるよう、ケアの内容を繰り返検討しながらよりよい看護を提供していくことが重要と言えるでしょう。