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EPA看護師制度による外国人看護師の受け入れの現状と問題点


EPAとは経済連携協定のことであり、国際貿易の取り組みの1つです。日本は、EPAに基づき平成20年から平成26年の間に協定国であるインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から839人の看護師候補者を受け入れました。

EPA看護師制度の目的

日本国内の看護師不足という問題が背景のひとつにあります。看護師不足によって、患者へ必要な看護ができないこと、現場で働く看護師の休暇が取れないことや忙しい業務内容など、大きな負担がかかっているのが現状です。

また、少子高齢化のため将来的に看護や介護を必要とする患者が増えていくことが予測されているにもかかわらず、必要な看護師の人数を確保することできないと考えられており、問題は深刻化しています。そのため、外国から看護師を受け入れて看護師不足を解消して、充実した医療現場を目指すことを目的として導入されました。

受け入れの現状

受け入れ先の国によって、制度の決まりには異なる箇所がありますが、インドネシアからの受け入れに対しての内容を紹介します。

【インドネシアからの受け入れ】

条件としてインドネシアの看護師免許を取得しており、2年以上の実務経験が必要です。日本語の研修を来日前と来日後6か月間ずつ受講した後、日本の病院と雇用契約を結んで、看護師免許の取得を目指した研修を行いながら働きます。そして、日本の看護師免許国家試験に合格できた人が、期間無制限で看護師として就労することができるのです。

しかし、看護師候補者として受け入れた人材のうち、看護師国家試験に合格できたのは154人でした。日本人の合格率は約90%に対し、10%前後と厳しい現実です。そのため、国家試験問題をわかりやすい表現や英語に変更すること、受験時間を延長することなどの措置を設けましたが、合格率に変化は見られませんでした。

また、国家試験に合格した看護師でも言語や文化の違いなどから、多くの現場では即戦力として働くことが困難な状態が発生しています。

問題点

このような現状から、制度の問題点が明らかになりました。日本語は難しい上に、医療の現場では指示や連絡などでたくさんの専門用語がでてきます。患者からの「ズキズキ」や「ピリピリ」などの表現による訴えや地方特有の方言に対しても、理解に苦労します。

日本語に十分対応できない看護師が多く、語学力不足により業務をこなすことに支障を与えるのです。また、コミュニケーションへの不安などから、外国人看護師に抵抗を感じる患者や家族がいることもわかりました。

文化の違いや習慣の違いなどから、医療や看護に対する認識や考え方、行動の相違が辛いと感じたり、悩んでいる看護師も多くいます。また、ホームシックなどもあり、せっかく日本で看護師免許を取得しても母国に帰国する看護師もいるようです。

今後は、国家試験合格率向上に取り組むと同時に、難関を突破したにも関わらずに帰国する看護師を減少させるために、合格後においても支援体制の整備を強化していくことが望まれるでしょう。